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【電気工事施工管理技士】と【発電設備】

電気工事施工管理技士と発電設備

日本を含むアジアの国々は欧米諸国に比べて火力発電に対しての依存度が高く、同時に化石燃料の消費が必要です。しかし日本、そして近隣の韓国、台湾は国内での化石燃料産出ができず輸入に依存してきました。そんな理由からエネルギーの自給自足を図るために原子力発電に注力してきましたが、3.11の東日本大震災以降は特に各国で脱原子力が加速してきています。原子力発電所の工事を終えていたフィリピンや、設置工事を計画していたインドネシアでも、原子力発電所を廃止、または中止し、大規模な地熱発電所を作ろうと動き出しています。前段とは異なる理由ですが、経済成長が著しいインドや中国は、大気汚染抑制のために現在主力である石炭による火力発電を縮小し、太陽光や風力による発電を進めていくと発表しています。では、電気工事施工管理技士として必要な発電設備に対する知識にはどんなものがあるでしょうか。

1.発電設備に対する共通の基本的な知識

発電設備はその種類を問わず、大気汚染や騒音、振動等、加えて設置位置によっては耐風圧に対する配慮が必要です。また設置する発電設備は一般用の発電設備か、非常用の発電設備かを決定することが一番大切です。非常用の発電設備の場合は、商用電源途絶時に、防災用負荷(消防設備に対する電源供給等)、保安用負荷(サーバー電源等)、業務上停電が許されない負荷の三種類を網羅するように発電容量を決定します。一方で常用の発電設備の場合は、ピークカット運転、ベースロード運転等の運転形態からその出力を決定します。

2.系統連系とは?

太陽光発電等を設置する時に『系統連系』というキーワードが出てきます。系統連系とは、電力会社の電力系統と設置する発電設備を接続することを指します。日常的に使用している電気は電力会社からの供給が一歩通行です。そのためこちら側から発電した電力は送ることができません。所謂『売電』ができない、ということです。自家消費だけでは発電した電力が余ることがあります。その電力を『余剰電力』と言い、余剰電力を売電するのか、蓄電するのか、はたまた捨ててしまうのか、その検討をした後に系統連系の手続きの有無が発生します。

3.発電所での電気工事施工管理技士の役割は?

火力発電所や水力発電所等の大きな発電所での電気工事施工管理技士としての役割や働きはどうでしょうか。こちらも、一般的な電気設備工事と役割は同じです。発電所に設置する発電機や分電盤等の据付や、それに伴う配線等の施工を管理する立場です。ただし、建築物を新築する工事よりも細やかな気遣いや安全管理、品質管理が要求されます。緻密な停電作業計画や工程計画の作成が求められますし、一般的な高圧・低圧電力だけではなく、時に特別高圧を工事することもありますので、小さなエラーが大きな事故に繋がりますので十分な注意が必要です。またインターロック等の制御も多いため、計装についての知識を深めておくことも大切です。

4.まとめ

世界的なSDGsの推進が進む中で日本政府は、太陽光発電の導入を引き続き推進しており、民間企業の自家発電・自家消費や新築住宅への太陽光設備の設置拡大を目標として掲げています。また、陸上・洋上の風力発電や地熱発電、バイオマス発電の設置推進、更には水力発電所の増設も提唱しています。このような新規の発電所、発電設備の設置には必ず電気設備工事が発生します。発電設備自体は特殊な設備のように感じますが、利用するエネルギーが異なるだけで、電気工事施工管理技士としての働きは一つ、作られた電力を供給・使用するための設備を整備することです。そのための仕組みは、今までに経験してきた業務内容と何一つ代わりありません。安全に、高品質な電力を供給するため、苦手意識を払拭して新エネルギーに挑んでいきましょう。

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