theo-construction

COLUMN

コラム

【核燃料サイクル】でエネルギーの安定供給を!【再処理技術】の仕組みとは?

核燃料 原子力

原子力発電に必要なウランは、石油や天然ガスと同じように輸入に頼っています。輸入は相手国の事情で供給量や価格が変動してしまう可能性があります。

そこで重要視されているのが、使用済燃料を国内で処理して再利用する「核燃料サイクル」です。

この記事では、まず核燃料と原子力発電についておさらいし、核燃料サイクルの仕組みを紹介します。

また、核燃料サイクルを含む原子力分野の派遣求人についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

1 核燃料と原子力発電

核燃料サイクルのサイクルとは、「ある状態」から、いくつかの変化を経て再び最初の状態に戻る循環周期のことです。核燃料サイクルの仕組みを紹介する前に、「ある状態」を理解するための基本事項を見ていきましょう。

核燃料って何?

核燃料とは、原子力発電に必要な燃料のことです。この燃料は、天然ウランを製錬・濃縮して、直径・高さともに約1cmのペレット(小さな塊り)状に加工したものの集合体となっています。

天然ウランには、ウラン235とウラン238の2種類ありますが、原子力発電に適しているのはウラン235のほうです。ウラン235には、核分裂によってエネルギーを発生させるという特徴があります。

原子力発電とは

原子力発電は、ウランの原子核に中性子があたり核分裂するときに発生する膨大な熱エネルギーを発電に利用しています。

熱エネルギーで水を蒸気に変え、この蒸気でタービンを回して発電しているのです。

核分裂が増えて熱エネルギーによる急激な温度上昇があると、ボイド効果やドップラー効果といわれる作用で、自然に核分裂が抑制されます。

さらに原子力発電所は、中性子を吸収する制御棒などで中性子の数をコントロールするよう設計されています。

原子炉って何?

原子力発電の心臓部で、まさに核分裂が起きている機構・装置を原子炉といいます。

現在、日本で商用運転を行っている原子炉は「軽水炉(LWR)」と呼ばれるものです。将来的には、より効率的な発電が可能な「高速増殖炉(FBR)」へと移行していくとされています。

軽水炉は、減速材(中性子のスピードを抑制)や冷却水に軽水と呼ばれる通常の水を使っている原子炉です。

高速増殖炉は、高速中性子をそのまま使うため減速材は使用せず、冷却材にはナトリウムを使用します。

高速増殖炉は、発電しながら消費した以上の原子燃料を生成することができるため、ウラン資源の利用効率を飛躍的に高めることが可能です。

2 核燃料サイクルの仕組み 

核燃料 原子力
核燃料 原子力

出典元|経済産業省資源エネルギー庁
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/kakucycle.html

核燃料サイクルとは、原子力発電で使用済となった燃料を再利用することです。核燃料サイクルは資源の有効利用であることはもちろん、高レベル放射性廃棄物の量を減らすことにもつながります。

軽水炉の原子力発電所を例に、核燃料サイクルの仕組みを紹介します。

2-1.軽水炉

現在、日本では、米国で開発された軽水炉というタイプの原子炉を使っています。減速材と冷却材は軽水で、燃料は濃縮ウランです。


燃料の濃縮ウランは、ペレット約350個を収めた燃料棒を72本又は74本集めた燃料集合体にして使用しています。燃料集合体は、原子炉内で4~5年使用した後、使用済燃料となります。

2-2.使用済燃料

使用済燃料は、原子炉内で使用中よりは低レベルですが、崩壊熱と放射線の発生は続きます。そのため、使用済燃料は水の中に入れたまま管理します。

水には放射線を遮蔽する効果があり、水を循環させることで発生する熱の抑制も可能です。

使用済燃料には、燃料として使えるウランやプルトニウムが約97%も残っているためリサイクルすることが重要となります。

2-3.再処理工場(青森県六ヶ所村)

使用済燃料からウランやプルトニウムを取り出すのが再処理工場です。

現在、青森県の六ヶ所村で国内唯一の再処理工場が試験運転の段階を迎えています。これまでは、フランスなど海外で再処理された燃料を使用していました。

再処理工場の工程の概要を以下にまとめました。

受入れ・貯蔵|使用済燃料は燃料貯蔵プールで冷却・貯蔵される
せん断・溶解|使用済燃料を細かく切断し燃料部分を溶かして分別する
分離|パルスカラム装置でウラン・プルトニウムと核分裂生成物を分離する
精製|ウラン・プルトニウムの純度を高める工程
脱硝|脱硝塔を用いて硝酸を蒸発・分解しウラン・プルトニウム混合酸化物粉末にする
製品貯蔵|燃料加工施設等に出荷されるまで貯蔵する

2-4.燃料加工工場(青森県六ケ所村)

ウラン・プルトニウム混合酸化物粉末を加工して、原子力発電で使用できるようにしたものをMOX燃料といいます。MOXとは、Mixed Oxide(混合酸化化合物)の略称です。

この燃料加工工場も青森県六ケ所村に建設され、竣工時期は2024年上期とされています。

MOX燃料を使用した原子力発電はプルサーマル炉と呼ばれ、国内でもいくつかのプルサーマル炉が試験的に運転されています。

3 原子力分野での人材派遣求人 

原子力関連のサイクル事業を担う日本原燃株式会社がある青森県上北郡六ヶ所村では、さまざまな原子力分野の企業が人材を募集しています。

各種の施工管理が多く、派遣社員の平均的な時給は2,300円~2,600円と高収入です。


再処理工場などの建築施工管理、土木施工管理、電気施工管理などです。この他、設備機器、配管、安全担当など幅広く人材を募集しています。


募集詳細にある年収の設定は450~750万円と幅広いのが一般的で、実務能力や経験で大きな差があるようです。また、原子力分野での就業経験があると強みになります。


六ヶ所村に限らず原子力分野では、各種施工管理の資格や経験を生かせる仕事での派遣求人が多いです。給与も高収入のものが多いですから、とにかく稼ぎたい方にはおすすめでしょう。

まとめ

原子力発電における核燃料サイクルの仕事は、資源の乏しい日本にとって重要な資源の再利用となるものでやりがいがあります。

また政府主導による官民一体の事業のため、働くにも安心の分野です。

各種施工管理の仕事はもとより、施工管理で培ってきたスキルを生かすことができる管理的な職種も多いです。

ただ、いざ挑戦してみたいと考えたとき不安なことも多いでしょう。そういうときはまず、派遣会社の担当者に何が不安なのかを相談してみるのが解決のための近道です。

関連記事一覧

ご登録・お問い合わせはこちら

050-5482-3847

受付時間 9:00〜18:00