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【施工管理技士】にとっての【工期短縮】とは?プロジェクトマネジメントの活用

工期短縮 施工管理

「工期」とは、建設工事の着工から竣工までの期間を指しています。

似た用語に「工程」があります。工程とは、分業化し細分化した建設工事の各工種における、時系列を含んだ作業手順のことです。

施工管理技士が工期短縮をどう行うか考えるとき、工程の管理が重要なポイントになります。また当然のことですが、品質や安全、原価などの管理とも関わっています。

この記事では、施工管理技士の工期短縮の取組み方と、工期短縮にプロジェクトマネジメントを活用する方法について紹介します。

施工管理技士の工期短縮の取り組み方

工事には必ず適切な工期があります。施工管理技士が工期短縮に取り組むというのは、この適切な工事期間を追求しながら、当初予定の品質や安全、原価率を確保することです。

とにかく工期を短縮しようとすると、安全や品質がおろそかになり原価率を高めます。

たとえば突貫工事が続くと作業者は疲労困憊し、集中力は失われ現場での不安全行動につながります。余分な時間外手当も支払わなければなりませんし、人員や車両・重機の追加が発生することも多いです。

また工期が短縮されると施工費が抑えられるので、発注者も請負会社もメリットになると考えている方がいます。これも現実的とはいえません。

現在では公共、民間を問わず、よほど規模の小さな工事でもない限り当初の契約(落札)金額は変動しません。工期が短縮されても契約金額は変わらないということです。

上記のことをしっかり踏まえた上で、自社独自の技術や新たな工法、作業環境の改善などで工期短縮を目指すのが施工管理技士の本筋です。

今、施工管理技士が求められていること

今、施工管理技士は、生産性の向上と作業環境の改善による工期短縮が求められています。何故求められているかというと、建設業が抱えている問題点の改善に直結するからです。

建設業は就業者の高齢化が顕著で、将来の労働力不足が明らかです。また生産性は全産業の平均を下回り、労働災害は依然として多いのが現状となっています。

生産性の向上と作業環境の改善を実現できれば、このような問題を解決するための素地ができます。

そのため、施工管理技士には、生産性の向上と作業環境の改善による工期短縮が求められているのです。

生産性の向上

総務省統計局が業種別労働生産性(従業員1人当たりの付加価値額)を公表しています。

「情報通信業」が909万円、「学術研究、専門・技術サービス業」は786万円、「卸売業」で747万円と続きます。建設業は450万円です。

しかし、これまでも現在も、建設業では生産性の向上のためにさまざまな取組みをしています。

・ICT(情報通信技術)の導入

・現場と工場を一体化したサプライチェーン管理

・アウトソーシングや協働プロセスの導入

今後は、生産性が遅れている土工やコンクリート工での、さらなる「テコ入れ」が必要でしょう。

総務省統計局|統計トピックスNo.73

https://www.stat.go.jp/data/e-census/topics/topi731.html

国土交通省|建設現場の生産性に関する原状

https://www.mlit.go.jp/common/001113550.pdf

作業環境の改善

作業環境が改善すれば、仕事に対する意欲が湧き、作業の効率も上がります。

特に「3k」の代名詞とされる建設業では、将来の働き手を確保する意味でも非常に重要だと考えられます。

実際、労働災害の死亡者数は全産業867人のうち、建設業が一番多い288人です。作業者と現場管理に携わる全ての職員のさらなる安全教育の徹底と継続が必要です。

この安全教育には、作業方法の安全性確認や、働く人全員の健康管理も含まれます。

また同時に、現場事務所の快適化、トイレの改善、女子専用室の設置、工事のイメージアップ、入職希望者の見学会や現場体験などの実施も望まれます。

厚生労働省労働基準局|令和3年労働災害発生状況

https://www.mhlw.go.jp/content/11302000/000943971.pdf

プロジェクトマネジメントによる改善

工期短縮 施工管理
工期短縮 施工管理

建設業にプロジェクトマネジメント(事業監理)を導入する動きが本格化しています。ここでは、建設業におけるプロジェクトマネジメントについて紹介します。

工程管理の最適化

PM(プロジェクトマネジメント)のポイントは、PDCAサイクルです。

・Plan|計画の立案

・Do|事業の実施

・Check|進捗状況の把握

・Action|対策の検討

このPDCAサイクルを含むPMを最も効果的に活用できるのが工程管理です。

PMツールは、建設工事という事業を効率的に執行監理するために必要な情報やデータを一元管理することができます。その結果として、全体事業工程の修正と最適化が可能になるのです。

品質と原価管理

PMツールは、さまざまな情報を監理できるため、全体工程に対する各工程の影響把握も容易になります。

すべての工程で、進捗状況の把握と対策の検討がなされるため、当初の施工計画書との相違や変更点が明確になります。その結果、品質や原価の管理もしやすくなるのです。

ただ規模が大きく複雑な工事になればなるほど、情報データの入出力作業は膨大になります。

データ更新の量や頻度によっては外部委託の検討も必要になるでしょう。

国土技術政策総合研究所|プロジェクトマネジメントの手引き

https://www.mlit.go.jp/common/001068283.pdf

まとめ

この記事では、施工管理技士の工期短縮との取り組み方を中心に、工期短縮にプロジェクトマネジメントを活用する方法についても触れました。

建設工事の工期は発注者が決めます。しかし設計書を見て入札で落札した段階で、請負会社にはその工期で工事を竣工させる責任があります。

今後も工期(施工期間)が短縮される傾向は続くと考えられますが対応できなければ生き残れないのが現実です。

その難しさの先鋒にいるのが施工管理技士です。対応に必要となる情報の収集や勉強をおろそかにすることはできないでしょう。

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